宮本武蔵の『五輪書』地の巻(6)の現代語訳です。
兵法の利を知ること
鉄砲の名人のことを、なんというでしょう?
鉄砲撃ちといいます。
槍の名人のことを、なんというでしょう?
槍使いといいます。
長刀の名人のことを、なんというでしょう?
長刀使いといいます。
このパターンでいけば、刀の名人のことは、刀使いというのが普通です。
でも実際はちがいます。
刀の名人のことは、
「兵法者」
といいます。
ね。
そう考えると、刀ってちょっと特別ですよね。
ところで、
世の中にはいろいろな道があります。
儒学、仏法、茶道、マナー、エンターテイメント。
これらは、もちろん兵法の道とはちがいます。でも…
どんな道であっても、その道を広く知ってゆけば、ほかのさまざまな事にも活かせるようになっていきます。
つまり、人はだれでも、これと決めた自分の道を、愛して愛して磨きぬいていくことが大切なんです。