宮本武蔵『五輪書』水の巻(23)のゆるい現代語訳です。相手の懐に飛び込むときのはなしです。
相手に寄り添う
相手の懐に飛び込むときのコツです。
このときは、
少しも手を出さないようにしましょう。
寒さに凍える猿のように縮こまって、
まったく手を出さないのがコツです。
この姿勢を「秋猴(しゅうこう)の身」といいます。
相手が斬りかかってくる前に
こちらから素早く懐に飛び込みます。
このとき、少しでも手を出そうとすると、
手が伸びて、かならず距離が生まれます。
距離をゼロにするには、
まず、手を出さないことです。
相手の刀を素手で受け止めるくらいの気持ちで、
余計な手出しをせず、素早く寄り添うのです。