きょうは風の巻(8)の現代語訳です。
速さにこだわらない
速さにこだわる流派もあります。
それは間違いです。
速ければいいというものではありません。
そもそも「速い」とは、ものごとのタイミングが合っていないから「速い」といいます。
達人がすることは、タイミングが合っています。
だから、むやみに速くは見えないものなんです。
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よく「速きはこける」といいます。
速さにこだわると、うまくいかないことが多いです。
かといって、遅いのも良くありません。
速くもなく、遅くもなく。
周囲の流れにタイミングが合っていることが大事です。
達人のすることは、けっして忙しく見えないものです。
むしろ、ゆったりしています。
それでいて、間延びはしていません。
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刀を扱うとき…
速く斬ろうとすれば、何も斬れません。
急ぐ気持ちは、禁物です。
以前、「枕をおさえる」というお話をさせていただきました。
そのくらいの心持ちで十分です。
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相手がむやみに「速い」タイプのときは、どうしたらいいでしょう。
そんなときは…
こちらはあえて静かになって、相手のペースにひきずられないようにしましょう。
これを「そむく」といいます。
以上のようなことを、日ごろから意識していきたいですね。