『五輪書』の最終章は「空の巻」です。
今回は、空の巻(1)の現代語訳です。
空(くう)とは
最後に、私の流派についてあらためてお話させていただきます。
私の流派は、二天一流(二刀一流)といいます。
この章のタイトルは「空の巻」です。
空(くう)とは、なにもないことです。
ものごとが「ある」ことを知って初めて、「ない」ことがわかる。
それが空(くう)です。
世間一般では、無知であったり、どうしていいかわからない状態のことを空(くう)ということがあります。
でも、それは違います。
迷わず、怠らず精進してはじめて空(くう)に近づけます。
精神や気持ちを磨き、「観」と「見」の目を養います。
そうすることで、少しの迷いもなく心が晴れ渡ったとき、空(くう)の境地に達します。
本当の空(くう)を知らないうちは、自分では「これが正しい!」と思っていても、どこか間違っているかも知れません。
まっすぐな気持ちを基本とし、真心を大切にしながら、「道」を歩んで行きたいですね。