五輪書の現代語訳その8

宮本武蔵の『五輪書』地の巻(4)です。ここでは武蔵が、『五輪書』のだいたいの内容・構成について語っています。

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この本の構成について

宮本武蔵です。この『五輪書』は「地」「水」「火」「風」「空」の五巻からなっています。おおよその内容を説明しますね。

地の巻。

ここでは、わが二天一流からみた武芸の道を、ざっくりと書いていきます。

剣術をひと通りやっただけでは、武芸を本当にマスターするのは難しいです。大切なのは、大きいことから小さいことを知ること。浅いところから、深いところにいたることです。はじめの心構えが大事です。「地の巻」という呼び方には、武芸の道をすすむための「地ならし」の意味が込められています。⇒地の巻

水の巻。

基本は水です。心を水にすることです。水は容器のかたちによって、四角にも丸にもなります。変幻自在の適応力です。

水は、小さな一滴にもなれば、大きな海にもなります。青い色にもなります。その清らな水のはたらきを通して、わが流派のことを書いていきます。

剣術における勝利の法則をしっかりと身につけ、ひとりの人間に勝てるようになれば、その呼吸は万人を相手にしても通用します。

小さな基本を大切にしてはじめて、おおきなことができます。一尺ほどの小さな型から、おおきな大仏をつくるのと同じことです。一をもって万を知る。これが武芸です。というわけで水の巻では、わが二天一流の基本を詳しく書いていきます。⇒水の巻

火の巻。

ここでは実戦のことをあつかいます。火は、大きくなったり小さくなったり激しくなったりします。その特徴は、実戦と似ています。実戦では、一人を相手にするときも、万人を相手にするときも基本は同じです。大胆に、それでいて細心の注意を払います。

実戦はその場その場の瞬間的な判断がものをいいます。ふだんから本番を意識しておくことが大切ですよね。⇒火の巻

風の巻。

ここで書くのは、わが流派のことではありません。ほかの流派のことです。他流を知らずして、自分流はありえません。他人のことを知ってはじめて、自分のことがわかります。

道をきわめようとするとき、大切なことから心が背いていれば、いくらまっすぐに進んでいるつもりでも、本当の道とはいえません。本当の道から逸れていれば、少しの心のゆがみも、やがて大きなゆがみになります。どんなことも、やりすぎは足りないのと同じです。

わが流派は、ほかの流派とはちがっています。その違いを知ってもらうために、風の巻では他流のことを書いていきます。⇒風の巻

空の巻。

空(くう)という言葉があります。ふしぎな言葉です。空(くう)を意識したとき、奥義も基本もなくなります。うまくいく方法を身に付けた上で、それにとらわれない境地です。道に身をゆだね、自由を得ると、ふしぎな力がわいてきます。

その時その時の流れに任せ、タイミングを得て、自然とコトにあたる。これが空の道です。本当の道を自然とあゆむあり方を空の巻に書きます。⇒空の巻

以上が『五輪書』の構成です。

五輪書のゆる~い現代語訳もくじ

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